2009年07月10日
COOLでいこう!

今読んでいる本になかなか面白い事が書いてありました。
「クール」について、「クール」とは何か、であります。 「クール」とは主流の価値観から距離を置く態度である、と著者はいい
ます。
ふむふむ、なるほど読み進めて行くと、古くはルネサンス期イタリア貴族の sprezzatura(さりげなさ、故意の無関心など)から
イギリス貴族の慎み深さ やダンディズムにまで、エリート臭ふんぷんたる排他的態度の根底には 「クール」が存在しているという
のであります。
そしてもうひとつ。「クール」の起源をたどると、なんと奴隷制下にあった黒人の心的 防衛メカニズムであったそうなのです。
つまり、屈辱や敗北感を味あわずにすますために、主流の価値観から冷めた距離を保つというのが 「クール」なのだそうだ。
奴隷から貴族まで、みんなが持ちたがる「クール」な態度。
弱者が傷つかない為の守りの武器としての「クール」は同時に特権階級の 「最新兵器」としても機能するわけであります。
以上は中野香織氏の「モードの方程式」から。大変興味深い説だったのであれこれはしょって抜粋しました。
「○○よりリリースされた、クールな○○をご紹介します」
何ていうフレーズがやたらに鼻につく昨今でありますが、これは「クール」かどうか全然自信ないんだけど、もしかしてださーい
なんて思われたらかっこ悪いんだけど、とりあえず「クールな」って表現つけとこ。なんとなくおしゃれなかんじだし〜^^;
という「心的防衛メカニズム」なのであるわけですな。ううむ、ややこし。
言葉というものは時が経つにつれ、どんどん変化していくものですから一概にこうと決めつけることはできません。
しかし、たったひとつの単語の中にこんな歴史や感情が見え隠れしているってとてもおもしろいです。
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